活用の前にして欲しいこと

 

 自助カルテは自分だけが見て理解するためのカルテではありません。家族や担当医、薬剤師、栄養士、理学療法士、介護士あなたに係わる全ての人たちが見て活用できるカルテとなるときに一番役に立ちます。本当はそれぞれの人たちが自助カルテに記入してくれると良いのですが、忙しい中それを依頼することは難しいでしょう。患者さん本人が言われたことを書き留めながら、自分の望む医療、介護とは何なのかを考えることが大切です。考えるという作業を通じて患者としての主体性を持つことが自助カルテの目的です。主体的になることで自らを助けることができるカルテという意味で自助カルテと名付けられています。

1)家族と写っている写真を貼る

  自分の自助カルテを医者や看護師、薬剤師の方に診せるときに自分を伝えるためにとても有効に働きます。○○病の患者としての自分から人と人との間に生きる 人間として理解してもらうために大切な役割を果たします。医療施設ではとかく本人ではなく病気が主役となりがちですが、主役は人間である自分だという主張 になるのです。人間らしさを瞬間的に見た人に伝える力が写真にはあるのです。病気だけ見てもらえば良いという考えならば要らないかもしれませんが、自助カルテもあなたの役には立たないかも知れません。

 

2)病名を記入する

 病名は医学用語で書くと医者に病状が良く伝わります。担当の先生から直接聞くのがよいと思います。医者に書いてもらおうとすると時間がかかりすぎて嫌がられるので自分で書くように努めてください。過去のアレ ルギーや心配されている病気があれば記入してください。家族構成、生活の様子も記入してください。

3)自分の終末期医療を考える

   唐突な提案に驚かれるかも知れません。誰もが迎えなくてはならない最期のときについて考えることは、自分に主体性を持たせるためには避けられないことなの です。医療機関の管理の中で患者として最期を迎えるのではなく、人として自分らしく最期を迎えて欲しいのです。その医療は本当に必要なのか?医療者の体面 を保つための無駄な医療なのではないのか?そういう視点で自分の望む姿へ自分を導いて欲しいのです。自分は素人だから医者に任せるしかないという姿勢で は、亡くなり方も医者任せになってしまいます。最期の別れも告げられず、自分らしさを投げ打って医者の言うことを聞く必要が本当にあるのでしょうか?良い 患者を演じて自分を押し殺してはいないでしょうか?本当に自分が望む姿がそこにあるのでしょうか?

 最期のときを考えることは主体的な患者という話に留まらず、人間としてどういう生き方、逝き方をしたいか?という自分への問いかけでもあるのです。抵抗がある方が多いと思いますが、是非、正面から受け止め考えてみて欲しいのです。

  自助カルテでは終末期医療を自分で規定することで理想に近づけるように工夫しています。なぜ医療ベースで考えなければいけないかといえば、最期を迎える場 所が病院であることが多いからです。「最期はたたみの上で・・」と言われてもどのタイミングで家に帰るべきなのかも解りません。そこで、このような状態な らばもう医療とは距離をとりたいのだという指針が活きてきます。

 急病を生じて集中治療室に入らなければならないような病気も急場をしのいだ後は、人工呼吸器、胃ろう、中心静脈栄養を するべきかどうかでその後のあり方が全く違います。これらは延命治療の際にとかく問題とされる医療的な処置方法です。老人に限らず望まない形で生き続ける 事を望まない場合は、上に挙げた処置方法についての要望を書き留めておく必要があります。更に自分が意思表明できない場合のために家族の了承を取り付けて おく必要があるのです。自分の最期を規定することはとても難しいことです。けれども本人の意志が明確でないと家族が変わりに悩まなくてはならなくなってし まうのです。家族のためにも自分の考えを明確にして伝えておく必要があります。障害があっても強く生き続けることも大切だと思いますが、家族の負担になり ながら、自尊心を保てずに生きていくことを希望しないのであれば、その旨を書きとめておくべきだと思います。「もう充分生きた。このまま逝かせて欲しい。 いままでありがとう。これからも頑張って生きていくんだよ。」と別れを告げられる覚悟を持つことは、きっと生きる力を強くしてくれると考えています。

 「私の終末期医療への要望」は上から順に死をどの程度受け入れているか?という観点から並べています。1-6の中から1つ選んで(2は2-a,b,c,dから1つ選ぶ)署名してください。

 「家族による終末期医療への要望」は、家族に記入してもらってください。縁起でもないからと考えることもためらう場合も多いと思いますが、大切なことなので時間をかけて焦らず、繰り返し説明してください。

 この記述があったからと言って法的な拘束力があるわけではありませんが、家族が判断するときに本人の意志として参考にすることは想定しておいたほうが良いでしょう。考えが曖昧な場合は空欄のままでよいと思います。

 

4)病名告知について考える

  病名告知については、あくまでも本人の意思表示としての記入になります。ここに記入してあることを既に医者が知っているわけではもちろんありません。告知 を積極的にされる先生方が多いので、希望がなくても知らされてしまうこともあるでしょう。悪性腫瘍などの病気について知りたくない場合は事前に担当医に伝 えておいてください。